大型アウトレットモールの無いシンガポールからの買い物客も多い。

新国際都市誕生なるか、シンガポールとの国境の街・マレーシアのイスカンダル計画


シンガポールと国境を接するマレーシア最南端のジョホール州。「シンガポールの銀座」と呼ばれるオーチャードロードから西部側の国境であるセカンドリンク(Second Link) という橋まで車で25~30分程度。約23キロの距離である。北部にはジョホールの州都ジョーホールバルに架かる橋、コーズウェイ(Causeway)もあり、現在は陸路で国境を越える場合、車やバスなどを利用して、この2箇所何れかの橋を渡ることになっている。

シンガポールとマレーシアのジョホール州を結ぶ橋「セカンドリンク」

シンガポールとマレーシアのジョホール州を結ぶ橋「セカンドリンク」

日本では最近「イスカンダル計画」という言葉が頻繁にメディアに登場するようになってきたが、このプロジェクトの舞台こそが、このジョホールバルを中心としたジョホール州である。

「イスカンダル計画(イスカンダル開発区プロジェクト )」は、総予算約10兆円というマレーシア最大規模の都市開発。ジョホール州全体の9分の1となる約2200km2の敷地(シンガポール国土の約3倍)をシンガポールとの連携可能な国際都市として2025年度の完成を目指し開発する計画だ。

この計画では、イスカンダル開発区をおおまかに5つのエリアに分け、それぞれに開発テーマを掲げている。ジョホールバルシティセンターは「金融・ビジネスセンター化」、ヌサジャヤ・エリアは「教育・医療・テーマパークの充実」、西部地区「港湾とシンガポールとのコネクション強化」、東部地区「テクノロジーセンター、物流センターの開設」、国際空港周辺エリア「空港の強化と周辺地域におけるサービス業の充実」となっている。

大型アウトレットモールの無いシンガポールからの買い物客も多い。

大型アウトレットモールの無いシンガポールからの買い物客も多い。

すでにヌサジャヤや国際空港周辺エリア には、大型アウトレットモールやテーマパーク、英キャサリン妃の母校としても知られるイギリスの名門寄宿学校Marlborough Collegeの分校をはじめ沢山のインターナショナルスクールが上陸している。Marlborough Collegeでは、生徒の半数近くが国境を越えてシンガポールから通学していると言う。更には、シンガポールからジョホール州へ移住する欧米人保護者が急増しているそうだ。本校は受験することすら困難という超名門校のため、この学校へ入学させるために本国イギリスからも入学志願者がやってくるほどの人気だ。

このように移住者が増えれば、住居ももちろん必要だ。外国人をターゲットにした豪華なコンドミニアムが続々とこの地区に建設されている。価格もシンガポール内の同等レベルの物件と比べて、3分の1から4分の1程度(3LDK・100m2強で約2000万円)と割安感があるため、移住の為の住居だけでなく、投資目的で購入する人も多い。日本人の購入者も多く、どの物件も販売は好調のようだ。

シンガポールからマレーシアに車で行く場合、ガソリンメーターが4分の3以上を指さない場合は500Sドルの罰金だ。(ガソリンが安いマレーシアでシンガポールの車がガソリンを入れると税収が減少する為)

シンガポールからマレーシアに車で行く場合、ガソリンメーターが4分の3以上を指さない場合は500Sドルの罰金だ。(ガソリンが安いマレーシアでシンガポールの車がガソリンを入れると税収が減少する為)

良い事尽くめの計画のようだが不安点が全く無い訳ではない。4月20日に告示されたマレーシアの連邦下院とサラワク州以外の州議会の解散に伴う総選挙では、与党の劣勢が伝えられ、初の政権交代を目指す野党連合の攻勢が強まっている。5月5日が投票日だが、結果次第ではイスカンダル計画を含め今までの政策に影響が出る可能性もある。

また、2025年までの長期間に渡る開発計画ということで、当初の思惑通り滞りなく計画が進むのかという心配があることは否めない。また、外国からの投資に頼った計画の為、世界の経済状況のバランスが変われば、計画通りに進まない可能性もある。またイスカンダル計画の中核を担うイスカンダル・インベストメント社の元幹部たちが詐欺行為で告発されたり、不動産販売に関する詐欺事件も起こったりしている。

今後、イスカンダル地区でコンドミニアムを購入する計画のある方には物件や仲介業者を慎重に選んで頂きたい。「美味しい話ほど慎重に」である。

» イスカンダル開発区プロジェクト

開発が始まったヌサジャヤ・エリア

開発が始まったヌサジャヤ・エリア

イスカンダル計画地図、開発地区はマレーシア最南端だ。

イスカンダル計画地図、開発地区はマレーシア最南端だ。

 


Author: 田嶋 麻里江 シンガポール在住「表現家」として、新聞、雑誌、WEB、ガイドブック、ラジオなど様々な媒体で情報発信中。Global Press所属。