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子どものスポーツとスポンサーの関係


ティム・ビッツプログラムで支給されるジャージー。ジャージーをめくると「プレーしてきました。のどがかわいています」と書かれていて、これを見せるとドーナツ店で飲み物がもらえる。

ティム・ビッツプログラムで支給されるジャージー。ジャージーをめくると「プレーしてきました。のどがかわいています」と書かれていて、これを見せるとドーナツ店で飲み物がもらえる。

米国の4大プロスポーツと呼ばれるメジャーリーグ(MLB)、バスケットボール(NBA)、アメリカンフットボール(NFL)、アイスホッケー(NHL)では、いずれのチームも親会社や企業名を名乗っていない。用品メーカーのロゴを除いては、ユニフォームにもスポンサー名は入っていない。

日本のプロ野球では胸に大きく企業名が入ったユニフォームを着用しているが、これと比較して、米国のメジャーリーグをはじめとするプロスポーツは、企業ではなく地域住民が「所有している」という意識が強いためと解釈されている。

ところが米国でもユース(子どもの)・スポーツとなると話は別。例えば、野球のリトル・リーグではユニフォームや帽子、球場のフェンスやスコアボードにスポンサー名を掲げることができる。ただし、酒類やたばこなどに関連する文字を入れることはできず、支援企業がチーム編成や試合の采配に関わることは禁止。また、世界大会のリトル・リーグ・ワールドシリーズは例外で、スポンサー名入りユニフォームは認められていない。

リトル・リーグとスポンサーとの歴史は古い。同リーグが設立された1939年には、設立者のカール・ストッツがスポンサーを探し、57もの会社に援助をお願いしたが、ストッツの上司と2つの地域商店だけが応じてくれたという逸話がある。

子どもの野球ユニフォーム。地域のスポートカード店がスポンサーになっていて、背中に店名と電話番号が入っている。

子どもの野球ユニフォーム。地域のスポートカード店がスポンサーになっていて、背中に店名と電話番号が入っている。

子どものスポーツのスポンサーになることは、青少年育成、地域への還元という意味合いが強い。しかし、その一方でビジネスとしても捉えられている。家庭でひとりの子どもが野球をしている場合でも、祖父母も含めた家族総出で応援することが多く、家族の誰かがスポンサーである飲食店やスーパーマーケットを利用することにつながるからだ。

スポンサーになる企業は、100ドル程度の援助をする地域商店から、全米展開している大企業までさまざま。

カナダと米国であわせて3500店舗以上を持つドーナツ店『ティム・ホートンズ』は、同社のひと口サイズのドーナツ『ティム・ビッツ』に由来する子供のスポーツプログラムに年間300万ドル(約2億4000万円)をつぎ込んでいる。特にアイスホッケーを初めて体験する幼児から8歳までのプログラムは有名で、NHLスター選手、シドニー・クロスビーも出身者だ。

参加者には胸に『ティム・ホートンズ』と背中に『ティム・ビッツ』とプリントされたジャージーが支給され、そのジャージーを来てドーナツ店に行くと飲み物がプレゼントされる。幼児ひとりでは店まで行けないこともあり、付添いの親がついでにドーナツやコーヒーを購入することも期待できる。

今や子どものスポーツ大会にも冠スポンサーがつく時代。子どものスポーツは家族ぐるみで関わるものとなっていて、市場も拡大されている。それだけに少年チームのスポンサーは、車の両輪のように子どもたちの応援とビジネスのバランスをとりながら援助に関わっている。

 


Author: 谷口 輝世子 スポーツ紙のプロ野球担当を経て、米国でメジャーリーグなどを取材。現在は米国のスモールビジネス、生活や教育に関する社会事情も取材・執筆している。Global Press会員。